朝日新聞 吉田調書を分かりやすく説明

「吉田調書」の吉田とは、東日本大震災
発生時に東京電力福島第一原子力発電所の
所長をしていた吉田昌郎氏の事を指している。


朝日デジタルより





この吉田氏が政府事故調の調べに対して
答えた「聴取結果書」の事を吉田調書と
している。

政府事故調＝東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会


吉田氏はレベル７の大災害を起こした
福島第一原発の最高責任者という立場で、
事故収束作業の指揮官でもあった（当時）。



政府事故調は、2011年に13回28時間余りに
渡り吉田氏に聴き取りをおこない、
全7編約50万字一問一答形式の「聴取結果書」を
とりまとめている。

2014年5月、朝日新聞がこの聴取結果所を 「吉田調書」と名づけてその内容をスクープした。

同年8月18日に産経新聞も内容を報じた。
日本政府は「本人から非開示を求める上申書が出ていた」
として公開しない方針だったが、
8月22日方針を転換、公開の検討に入った事から
今回の問題に発展している。


この吉田調書は吉田氏の唯一無二の公式な
調書となっているが、事故について報道機関に
ほとんど語らなかった吉田氏は2013年7月に
死去した。



「吉田氏経歴と事故後からの流れ」

1955年2月17日大阪生まれ
1970年大阪教育大学附属天王寺中学校卒
1973年大阪教育大学教育学部附属高等学校天王寺校舎卒
1977年東京工業大学工学部機械物理工学科卒
1979年東京工業大学大学院理工学研究科原子核工学専攻修士課程修了
1979年東京電力に入社

福島第一原子力発電所、
福島第二原子力発電所両原発の発電部保守課、
ユニット管理課などを経て、
福島第一原子力発電所1,2,3,4号ユニット所長務める

2007年東京電力執行役員 原子力・立地本部原子力設備管理部長（初代）
2010年東京電力執行役員 原子力・立地本部福島第一原子力発電所所長
　　　兼 立地地域部福島第一原子力調査所所長
2011年東京電力執行役員 原子力・立地本部福島第一安定化センター福島第一原子力発電所長 兼 立地地域部福島第一原子力調査所所長（改組）

2011年3月11日に東日本大震災発生
福島第一原子力発電所事故が起こり、現場で対応

2011年11月24日人間ドックで食道癌が発見・入院
2011年12月1日付で病気療養のために所長職を退任
本店の原子力・立地本部事務委嘱の執行役員に異動

2012年抗癌剤治療を経て食道切除術
2012年7月30日外出先で脳出血のため倒れ緊急入院・緊急手術

2013年7月9日食道癌のため慶應義塾大学病院で死去

58歳没



吉田氏への聴き取りは１３回中１１回が
福島第一原発から南へ２０km離れた
サッカー施設 J-VILLAGE JFAアカデミーの
ミーティングルームで、
残る２回が吉田氏の仕事場である
福島第一原発免震重要棟でおこなわれた。

政府事故調は全772人から計1479時間に渡り
聴き取りをおこなった。
吉田調書はその一環で作成されている。

１人当たりの平均聴取時間は２時間弱程度。
吉田氏への聴取時間は２８時間余り。

畑村洋太郎・政府事故調委員長は、吉田氏の
公式の調書が他にないことから
「貴重な歴史的資料」と呼んだ。


政府事故調は聴き取りを始めるにあたり、
「後々の人たちがこの経験を生かすことが
できるような、そういう知識をつくりたいと
思って、それを目標にしてやろうとしています」
「責任追及とか、そういうことは目的に
していません」と趣旨説明をしている。

吉田氏への聴取は政府事故調事務局に
出向した検事主導で行われ、調書は微妙な
言い回しも細かく書き起こされている。

調書には、吉田氏が
「ここだけは一番思い出したくない」と
苦しい胸の内を明かすように話す場面がある。

震災当時の東電社長清水正孝氏を「あの人」と
呼んだり、菅直人氏や原子力安全委員長の
班目春樹氏を「おっさん」呼ばわりしたりして、
怒りをぶちまけながら話をする場面もある。

全編を通して感情を包み隠さず答えており、
全体として本音で語っていると感じられる。

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